管理図は、一般的に工程管理のために使用される場合に加えて、工程解析のために使用される場合もあります。
標準偏差(σ)の3倍の位置に限界線を引くことから、3シグマ管理図とも呼ばれます。
通常の管理図の横軸には日時がとられ(時系列で追う)、その一点は複数のデータの代表値となります。
その複数のデータは群と呼ばれ、データ数を群の大きさと呼びます。縦軸の取り方は多くの種類(パターン)があり
次のような名称があります。
X管理図(えっくすかんりず)
工程の個々の測定値「x」をプロットする管理図です。以前は小文字で「x管理図」と呼ばれていました。
Xバー-R管理図(えっくすばー-あーるかんりず)
最も多く使用される管理図で、群の大きさがn個のデータの平均値と範囲の管理を行います。測定値「X」の群のデータの
平均値「Xバー」(本来は、Xの上に横棒=バーを書いた記号で表します)の管理図である「Xバー管理図」を上側に、
その群の範囲「R」の管理図である「R管理図」を下側に書いた、二段重ねの管理図の事です。「Xバー」の動きと
「R」の動きを同時に管理します。
管理図の視点は、
1.点がUCLとLCLの内(管理限界内という)にあること
2.点が管理限界内にあっても、点の散らばり方にくせのないこと。点は偶発的に点在すると考えます。
※UCL:Upper Control Level=規格上限
(Upper Critical Limit という場合もあり)
LCL:Lower Control Level=規格下限
(Lower Critical Limit という場合もあり)
点の並び方のくせ
(1)中心線より片側に連続して現れる(連:レンという)
(2)傾向や周期がある。
(3)点がUCLとLCLに接近して現れる。
(4)点が中心線に接近して現れる。
管理図の作り方
下記の表のデータを基にX-R管理図を作ります。完成した管理図は上のグラフになります。
ここでのデータは1日5個(n)、20日(k)の計100個とします。
管理図の作り方
下記の表のデータを基にX-R管理図を作ります。完成した管理図は上のグラフになります。
ここでのデータは1日5個(n)、20日(k)の計100個とします。
1.下記のデータを求める。
各日の平均値
20日間の総平均値(19.18) ← Xの中心線
各日の範囲:最大値-最小値
20日間の範囲の総平均値(0.08) ← Rの中心線
2.X管理図の管理限界線を求める。係数は上表を参照してください。
UCL(上方管理限界)=X+A2xR=19.18+0.577x0.08=19.226
LCL(下方管理限界)
=X-A2xR=19.18-0.577x0.08=19.134
3.R管理図の管理限界線を求める。
UCL=D4xR=2.11x0.08=0.169
LCL=D3xR=0x0.08=0
次のようなクセがあった場合に、これがあると必ず非管理状態とは限りませんが、工程異常の有無などを検討します。中心線に対して上か下のいずれかに連続して並んだ点の数を「連」、その点の数を「連の長さ」と呼びます。
・限界線から外れている。(コレが外れている場合に全て異常とは限りません。異常の確率は高いですが、統計的に±3σを外れただけということもまれにはあります。)
・長さ9以上の連が出たら、「工程異常」と判定します。(長さ7以上で工程異常と判断する場合もあります。)
・連続6点が単調増加、あるいは、単調減少している場合に、工程異常と判定します。(連続7点で判定する場合もあります。)
・局所的には多少の上下があっても、全体として上昇あるいは、下降している場合にも「傾向(トレンド)がある」といって工程異常と判定します。
・連続14点が、完全に交互に上下している場合や、週の曜日に相関がありそうな傾向の場合に「周期性がある」といって工程異常の判断をします。
・連続3点中の2点が±2σから外れている場合に工程異常と判定します。
・連続5点中の4点、あるいは、連続する8点が±σから外れている場合に工程異常と判定します。
・連続15点が、±σ内にある。(これは、測定上の問題が有る場合も考えられますが、場合によってはむしろ「良い異常」と見られ、管理限界線を新たに引き直すことも考えられます。ケースバイケースです。)